HIFU:高密度焦点式超音波治療 (その3)
限局性前立腺癌に対する正常前立腺温存治療:Focal ablation
前立腺癌はmultifocal diseaseと言われています。実際、術前の生検で片側しか癌が認められない症例の約70% に全摘標本では対側にも癌が認められるという報告もあります。しかし“前立腺癌の予後は腫瘍容積と相関しない”(Ohori M, et al. J Urol. 172: 508, 2004)、“multifocal な前立腺癌においてSecondary cancers は臨床的に重要ではない”(Noguchi M, et al. J Urol, 170: 459, 2003)とも
報告され、 たとえ対側の非治療域に微小癌があったとしても、患者様の予後に影響しない可能性があります。そこでわれわれは正常前立腺を温存できる可能性があると考え、臨床的および病理学的に片葉のみに癌が局在している症例に対しては部分照射を行っています。術前の直腸診、MRI T2 強調画像、14 もしくは16 ヶ所生検で片葉のみに癌が検出された症例に対しては、癌検出側は全葉、反対側は辺縁域のみに照射するFocal ablation を行い、他の症例は前立腺全体を照射しています(Whole ablation)。ただし尿道は全例で温存しています。他施設のHIFU は全て尿道も温存せず、全体照射を行っています。

図3
Whole ablation 41 例と、Focal ablation 29 例を比較してみると、全照射と部分照射における制癌効果に差はありません。1997 年のAmerican Society for Therapeutic Radiology and Oncology(ASTRO)の基準による再発
評価では、low risk(図3a)、Intermediate risk(図3b)ともにDisease-free survival はWhole ablation とFocal ablation との間に差はありません。HIFU 後6、12 ヵ月後に前立腺生検を行っていますが、その陽性率も両者で差を認めません(図4)。また部分照射では、術後尿道カテーテルの早期抜去が可能であること(図5)、部分照射は全体照射と比べて男性ホルモンの低下が有意に少ないことを見出しました。
もちろんHIFU が万能の治療ではありません。われわれの検討ではHigh risk 症例全例に再発を認めます。これ
らの結果をふまえて、今後はLow あるいはIntermediate risk 症例に対して、積極的にHIFU を用いた正常前立腺温存治療を行っていきたいと考えています。






