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帝京大学医学部泌尿器科の紹介
研究
第3回泌尿器領域の医療とケア研究会
セッション1
セッション1『がん医療におけるリハビリテーションの役割』
| 演者: | 慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室 専任講師 辻 哲也 先生 |
|---|---|
| 座長: | 中村診療所 院長 中村 洋一 先生 |
― 年々増えているがんにおいて、治療と共にがん後の生活、がんとの共生について注目が高まっている。そんな中、辻先生の講演ではがんとリハビリに関する研究内容とともにさまざまな実践に基づく知見をお話いただいた。
がん(悪性腫瘍)のリハビリとは?
がんは確実に増えていく病気であること。そして、がんと共に生活を送る人が増えていることが、がん治療におけるリハビリテーションの必要性が高まっていることを示している。
欧米ではリハビリの必要性が1960年代より訴えられ、いまではリハビリ関連・がん関連の教科書でがんのリハビリが独立した章立てになるほど重要性が認識されている。
リハビリの対象となる障害は大きく2つ、骨転移による骨折や脳腫瘍による麻痺など「がんそのものによる障害」と寝たきりによる全身性機能の低下や手術で患部を切除した事によって起こる問題、化学療法等による副作用など「治療過程によりもたらされる障害」に分けられる。
周術期リハビリ
「周術期リハビリ」とは手術前、または手術後早期にリハビリの必要性を伝え、合併症の予防・後遺症の軽減を目的とした「手術」の周りを囲むような時期に行うリハビリのことであり、合併症などの問題が起きてから行われるリハビリと比べスムーズな回復を図ることができる。

特に周術期リハビリを行うのに効果的な障害は「開胸・開腹術後の呼吸合併症」「頭頚部がん(舌がん、咽頭がんなど)術後の嚥下、言語障害・肩運動障害」「乳がん・子宮がん術後のリンパ浮腫(むくみ)」などがある。
― 講演では「開胸・開腹術後の呼吸合併症」「乳がん・子宮がん術後のリンパ浮腫(むくみ)」について、辻先生の前職である静岡県立がんセンターで行っていた実際の治療内容やリハビリプログラム、問題点などについて紹介いただいた。
がん緩和ケアのリハビリテーション
がんの末期とは”生命予後6か月以内と考えられる状態”だが、その中でも月・週・日単位でそれぞれに適したケアを行っていくことになる。

緩和ケアはがんの治療と併行して行うものでどこまでががんの治療、どこからが緩和ケアであるというものではなく、がんと診断されたときから行うものだとWHOが提唱する概念でも表されている。これはリハビリテーションについても同様で、がん治療と緩和ケア双方にシームレスに関わっていくリハビリを行うことが大事である。

ADL(日常生活動作)へのアプローチはQOL向上に果たす役割が大きなものである。そのため亡くなる前まで、できるだけ自分のできることは自分でやっていただき、できることを増やすことが緩和ケアリハビリの目的となる。特に能力以下のADLになっている場合はちょっとしたサポートで向上が見られる場合があるので注意が必要である。
ここで、よりわかりやすい内容で緩和ケアにおけるリハビリの目的を記している例があるのであわせて紹介する。
月単位(余命6か月~1か月)でのリハビリでは、患者がある程度元気なので維持的(supportive)リハビリを行いQOLを下げずにADLの向上を目指す。
具体的には
- 残っている能力を生かし福祉機器(杖・車いすなど)の使用や動作のコツを覚えることによる基本動作・歩行の安全性を確立。
- 廃用による四肢筋力の低下、関節拘縮の予防・改善
- リンパドレナージや生活指導による浮腫の改善
- 安全な栄養摂取の手段の確立
- 在宅ケア希望の場合、在宅に向けた準備
週・日単位(余命数週間~数日)のリハビリでは、ADLがだんだん落ちてくるため、疼痛緩和・浮腫の症状緩和・呼吸しにくさの緩和・心理面の支えなどを行う。
終末期リハビリに関するエビデンスは少ないが、その中でも患者家族の8割程度がリハビリに満足を示している研究結果などがあり、緩和ケア期のリハビリは重要なことを物語っている。
― その後、先生が静岡県立静岡がんセンターにて行っていた緩和ケアにおけるリハビリの流れ、リハビリ中止基準などの実践的な情報、各リハビリ・療法の実際について解説いただき、最後に、がんのリハビリテーションに関する今後の課題をあげてセッションを終了した。




