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帝京大学医学部泌尿器科の紹介
座談会
VISIONARY DOCTORS 座談会 : 3
堀江教授着任後5年を1つの区切りとして「帝京大学医学部泌尿器科学教室 報告書 2003.4-2008.4」を刊行した際に収録した帝京大学医学部泌尿器科学教室一同による座談会の模様です。泌尿器科学研究・医療のこれから 私たちの5年後を見据えて
堀江
武藤先生は膀胱癌の専門でもありますが、膀胱癌が治る道はありますか?
武藤
膀胱癌は進行し始めると非常に早く、苦労もありますが、やりがいもありますね。私は膀胱癌の方の愉快なキャラクターを非常に愛していますから、なんとか患者様のためになりたいと考えています。膀胱癌を治るがんにしたいという気持ちで治療に取り組んでいますね。手術も進歩していますが、前立腺癌と同様、手術だけ、抗がん剤だけ、放射線だけという単一の治療ではおそらく難しいでしょう。様々な治療を組み合わせて、その患者様にとって最も良い治療を行うことが大事だと思いますね。
堀江
武藤先生は、膀胱の中で生検して病理を診て正常だけど、実は遺伝子異常があることを世界で初めて発見して、日本泌尿器科学会賞を受賞しています。海外に行くとドクター武藤はとても有名なんですよ。井手先生は、前立腺癌の幹細胞を評価するシステムを、世界で初めて作りました。研究の分野でアピールしたいことは何かありますか?
武藤
膀胱癌に関する研究では膀胱発癌および進展に関与する分子マーカーの探索を行っています。癌の本質に迫る研究を目指したいと考えています。われわれが以前より取り組んでいる多発性嚢胞腎に関しては、ヒト検体を用いて多発性嚢胞腎のバイオマーカーを探索しています。また、多発性嚢胞腎は責任遺伝子の異常が同じ同一家系でも表現系が異なるという特徴があり、全く別の因子が強く関与していると考えられています。われわれは酸化ストレスが増悪因子ではないかと考え、現在モデル動物を用いて研究中です。
井手
最近、前立腺癌のチームで行っている基礎研究のテーマは、「前立腺癌の浸潤転移の分子機構の解明」です。
浸潤転移を抑える新しい分子標的をみつめて、装薬に導きたいという観点から研究し、結果を報告しています。また、「酸化ストレスと前立腺癌」をテーマに予防医学に通じる研究も進めています。臨床に即した研究としては、新
しいノモグラムやサプリメントの基礎的な評価、臨床的な解析などを行っていますね。
堀江
酸化ストレスについて、安田先生いかがですか?
安田
唾液の中の生体内酸化ストレス8-OH- d G を測定する研究を行っています。私の臨床の分野で扱っている勃起障害、男性更年期障害などに役立てていきたいと思っていますね。
清水
5 年後はかなりいろいろなことが変わってくると思うんですけど、男性更年期障害のような今まで精神科が扱っていた分野に、泌尿器科が踏み込んで行って裾野が広がっていると思います。この医局も地域の病院との連携が密になり、城北地区に根を張るような地域密着型になっているんじゃないかと思いますね。
小関
緩和療法において、今はオペ室でしか使えない薬が、病棟や外来でも使えるようになってくると思います。
上山
帝京は今、都内で最も大きな大学病院です。来年5月に新棟が完成すると、おそらく帝京もまた大きく変わると思います。最先端の医療を提供し、各科の垣根がなくなって、個人の医療のための様々なチームができてくるのではないでしょうか。欧米の医療スタイルになってくるのかなと予測しています。
堀江
新棟が完成すると、若い先生たちの垣根がなくなって、自然発生的なカンファになっていくのかもしれないね。
斉藤
病気に対する診断や手術、病院としての戦略の部分でも、もっといろいろな話し合いがあって、いろいろな科の垣根を越えて他科との連携を深め、みんなで治療していくスタンスがもっと作れたら、癌治療はもっとうまくいくのかなと思ったりしますね。また、癌患者様の生涯を診れるような枠組みを作らないといけないな、と思っています。
堀江
疾患の部分で見たら、どんな変化があると思いますか?
武藤
間質性膀胱炎という病気のメカニズムが、5 年後には解明されているのではないかという気がします。癌、腫瘍は、ブレークスルーになるものが出てくれば話は別ですが、もっと考えていかなければいけませんね。
井手
前立腺肥大症の治療が大きく変わる可能性があると思います。TUR-Pという従来のスタンダードな治療法に比べて、今はホーレップの方が良い治療なのでは? という見方が高まりつつあります。ホーレップを取り入れる病院は今後増えてくると思いますね。内服薬が格段に進歩する可能性もあるかもしれないですよね。
堀江
従来の入院して抗癌剤を投与する治療に比べて、腎外来の分子標的薬への期待度はどうですか?
斉藤
治験のデータをまとめたりしていると、非常に期待できる治療法だと思います。制癌していく意味を考えると、使ってみないとわからない部分もありますが、待ち望んでいる患者様がたくさんいますね。内服でしかも通院での治療が可能なので、患者様のQOLは非常に高いです。腎癌の患者様には50 ~ 60 代の方も多いので、仕事をしな
がら治療をできるのが大きなメリットだと思いますね。
堀江
帝京大学泌尿器科として、今後伸ばしていきたい部分はどんな点ですか?
斉藤
帝京がイニシアチブを取れるような打ち出し方をしていくことが大事だと思います。たとえば、排尿障害センター、前立腺センターなど専門性の高いプロフェッショナルをひとりでも多く作っていくことが、まずは重要だと思いますね。
堀江
(まとめの言葉)座談会というちょっとよそ行きの雰囲気もあったけれど、メンバーそれぞれが熱い気持ちを語ってくれました。それにしてもこの5 年間だけでも泌尿器科学の進歩が著しいことに驚きます。新しくなる帝京大学病院に多くの期待がありますが、ハードだけでなくソフトをどう充実させていくかについても、ひとりひとりプロフェッショナルとして確かな視点を持っていることに感動しました。われわれのチームは小さいからこそ、Visionary Doctors として、よい臨床に集中!したいと願っています。ホームページにも掲げた、小さなロンシャン教会をイメージとする、高機能、高技術と温かいケアのコンセプトは大きい新病院でこそ大事にしていきたいと思います。




