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VISIONARY DOCTORS 座談会 : 2

  堀江教授着任後5年を1つの区切りとして「帝京大学医学部泌尿器科学教室 報告書 2003.4-2008.4」を刊行した際に収録した帝京大学医学部泌尿器科学教室一同による座談会の模様です。

よりクオリティの高い泌尿器科の医療と治療法の選択肢の提供を目指して

堀江

体外衝撃波破砕術の高い砕石率と痛みのコントロールについて、栗原先生が論文にまとめてくれましたけど、日本の中でもかなりレベルが高いと思いますね。石を破砕する際の医療機器に関してはどうですか?

栗原

石を破砕するのに、道具もかなり大事です。衝撃波だけでもダメだし、内視鏡だけでもダメだと思うんですね。

堀江

膀胱瘤は自分にとっては不快だけど、生命の危機には及ばない疾患です。改善すると患者様はどのようになりますか?

常盤 紫野
義理とふんどしは忘れずに、明るく楽しく感じよく、仕事をする。
大きな目標は、患者様から、他科の先生から、先輩・上司から、任せて安心といってもらえるように。
個人的には、専門医をとれるように。
女性泌尿器の看板を挙げてもいいように。
私なりに頑張りたいです。

常盤

術前とは全然違いますね。表情も大変明るくなりますし。楽しく老後を暮らしたいと思っているおばあちゃんが、膀胱瘤がもとで旅行にも行けない、運動もできない状態だったのが、決心して治療を受けに来る。それで良くなって、「手術してよかったわ」って言って帰っていくんです。そういうシーンを見た時は、私もよかったなと思いますね。手術を待ってる患者様がたくさんいることを考えると、自分もいつか瘤ができたら…と思うとちょっと怖いですけど(笑)。

堀江

膀胱瘤のような疾患に関しては、治療を受けることで人生が変わるくらいよくなることを啓蒙していくことが大事ですよね。吉井先生のカテーテル外来にはどのような患者様が多いですか? また、どのようにカテーテルの処方を決めているの?

吉井

高齢者の患者様が多いですね。車椅子で家族に連れられて来る方、体の自由がきかない方も結構いらっしゃいます。長期バルーン留置が必要な男性の患者様には、膀胱瘻をおすすめしていますね。

堀江

尿道バルーンより膀胱瘻がいいですか?

吉井 隆 助手
入院患者様の中には、病気が治って退院していく患者様もいますが、再入院
を繰り返す患者様や、不幸な転機を迎えられる患者様もいます。そのような患者様や患者様の家族に帝京に入院してよかったと思って頂けるように、さらにきめ細かなサービスを提供していきたいと思っています。

吉井

膀胱瘻の方が、カテーテルの交換が簡単で、しかも交換時の痛みや感染症が少ないんです。

堀江

上山先生の排尿外来はいかがですか?

上山

やはりご高齢の患者様が多いですね。以前と比べると、排尿の医療に関しても質を求められる時代になってい
ると思います。マスコミや様々な啓蒙活動の影響もあると思いますが、排尿に関する重要性が高まってきていることを感じますね。ストレスの多い社会に生きているせいか、最近では頻尿も増えています。頻尿は今後、重要性が増す分野だと思いますし、効果的な新薬も出てきていますね。かなり解明されていない部分が多いのですが、今後発展していく世界だと思っています。

堀江

上山先生が中心になって、シグマートが頻尿や過活動膀胱に効果がある臨床研究が出て、国際的に高い評価を得ていますね。この5 年間でレーザー治療も非常に進歩しました。医師の専門性が、今まで以上に大事になってきますね。斉藤先生にお聞きしますが、HoLEP・(ホーレップ・前立腺肥大症レーザー手術)の良い点は?

斉藤

ホーレップの手術のコンセプトが、僕は非常に好きですね。膜をローテーションしてくり抜くというコンセプトが、とてもおもしろいと思います。それから、患者様の満足度が高いのも良い点ですね。尿流量、QOLに関しては尿の出が非常に良くなって「人生が変わった」と言う患者様もいらっしゃいました。入院期間、バルーン留置期間も短く、層をきちんと守って手術する限りにおいては、ほとんど出血もしませんね。再発率は低いと言われていますが、再発に関してはもっと長期間診ていかないとわからないですね。

堀江

井手先生は前立腺癌の専門で前立腺外来をされていますが、どんな進歩がありましたか?

井手 久満 准教授
これまでの経験と今後の医療を見据え、患者様のQOL をより高める機能温存手術の習得および開発に努めた
い。また、臨床外科医でありながらも、リサーチ・マインドを備えた後進の育成と地域医療の更なる発展を目標としたいと考えています。

井手

まず非常に前立腺癌の患者様が増えています。毎年100 人以上の新しい患者様が帝京を受診されています。

帝京では、特に患者様のQOL(生活の質)の向上を重視した治療を行っています。たとえば、患者様のQOLを高
めるために、男性にとって重要な勃起神経を温存する手術や、経会陰的アプローチで出血も侵襲(体への負担)も少ない手術法を積極的に取り入れています。堀江先生の指導のもと、多岐にわたる治療の選択肢を網羅し、それを患者様に提示して選んでいただくというのが我々の医療システムで、これは日本でも非常に進んでいると思います。

堀江

武藤先生は前立腺癌に、HIFU(ハイフ)治療を行っていますね。

武藤 智 准教授
この5 年間で多くの新しい先生方に加わっていただき、泌尿器科グループとして成長を遂げてきました。医療を取り巻く社会環境は日々厳しさを増していますが、帝京泌尿器科が一人でも多くの患者様に御満足していただけるように更に邁進していきたいと思います。

武藤

HIFU 療法は低侵襲の治療法ですから、患者様にとってラクだと思うんですね。前立腺癌の治療法には、今かなり様々な治療法があります。その中でどの治療法がその患者様にとってベストなのか、きちんと踏まえたうえで、いかに低侵襲の治療に結びつけていくかが大切だと思いますね。今後HIFU だけでなく、我々はMRSという特殊なMRI(細胞内情報を画像化して前立腺癌の局在診断を行う)なども導入しているわけですから、そういったものをどんどん組み合わせて、いろいろな評価ができるようにしていきたいと思っています。

堀江

HIFU による前立腺癌の局所治療が海外でも注目を集めていますね。僕はこの治療とMRS を組み合わせたものが10 年後の前立腺癌治療の主流になると思っています。
井手先生、腹腔鏡手術(ラパロ)に関する将来性はどうですか?

井手

ラパロは、7~8年前から日本でもどんどん取り入れられ、認定医制度もできました。QOLを非常に高めることができる治療法だと思います。患者様の疼痛も少なく、術後の回復も早いですね。帝京ではラパロを積極的に取り入れ、腎臓や副腎ではラパロで手術するのが一般的になっています。膀胱全摘においてもラパロの技術を応用し、積極的に取り入れています。将来的にラパロは、かなり大きなウエイトを占めると思いますね。ラパロで手術をすると、オープンでは認識できなかった層や細胞が認識できるので、手術のクオリティも向上します。非常に重要な技術だと思いますね。ただし、技術的に難しいので、指導する側としては悩む部分もありますね。

堀江

若い先生たちに、どんどんラパロの手術を行ってもらうためには、どうしたらいいでしょう?

井手

ひとつは手術を見るということです。すべて手術は録画され、アーカイブになっていますので繰り返し見ることが出来ます。これは絶対条件ですね。それから、シュミレーションを利用してトレーニングするという方法も有効だと思います。

堀江

磯谷先生、若い先生方に泌尿器科をアピールしていくにはどうしたらいいですか?

磯谷 周治 助教
いつも新年や年度始めに、今年はこのような年にしようと考えますが、実現するのは半分ぐらいです。思っても
いなかった出来事が起こることもあり、なかなか抱負も難しいものだなと正直思います。というわけで、今年の抱負は“骨惜しみしないで、とりあえずやってみる。” と“禁煙する” の2 つです。

磯谷

現在の泌尿器科という学問についての正しい知識を広めることでしょうか。僕が泌尿器科になった10年前と比べて、現在の泌尿器科の扱う疾患や治療の技術は飛躍的に発展しています。さらにこの流れは続いていくでしょう。このように、常に新しい知識が導入される泌尿器科は、若い先生にとっても腕の磨きがいのある学問ではないでしょうか。たとえば、当科には新しく医局に入局された研修医の先生方に、アメリカ泌尿器科学会に参加していただく研修プログラムがあります。泌尿器科の最先端を自分の目でつぶさに見ることは、これからの医師人生に影響をあたえるほどの、大いなる刺激になるでしょうね。

堀江

今日は泌尿器科志望の学生さんにも来ていただきました。帝京泌尿器科のイメージは?

樂得

泌尿器科には暗いイメージを持っていましたが、1年生のときに「行動科学」のプログラムでいちばん最初に泌尿器科を回ったんです。そのとき、堀江先生はじめいろいろな先生方に接して、「なんて明るい医局なんだろう!」
とまず思いました。その時に泌尿器科への概念が変わりましたね。男性更年期障害や女性専門外来などの新しい取り組みについてお話を聞いて、医師になったら一役かいたいと思うようになったのが泌尿器科志望の理由です。